周恩来は、東京・御茶ノ水にある明治大学で学びました。そのときに通っていたという中華料理店「漢陽楼」は知る人ぞ知る名店です。周恩来が食べたことのある料理を自分も食べてみる、という人もいるほどなのです。中国人作家として日本で最も名前が知られているのは、魯迅ではないでしょうか。魯迅は1904年、仙台医学専門学校(現在の東北大学)に留学しました。東北大学には魯迅も学んだ当時のままの「階段教室」があります。大学の周辺には魯迅の下宿先だった場所などもあるのです。私の知人の中国人も「仙台まで旅行したついでに東北大学まで足を延ばした。魯迅の足跡を訪ねた銅像を見たりして感動した」と話しているのです。魯迅が日本で出会った教師との交流を描いた小説があります。『藤野先生』は日本の教科書などにもでてきます。読んだことがある人が多いと思いますが、中国でもこの本は有名です。今ではほとんどの旅行者がSNSで日本の情報を仕入れています。日本関係の小説をわざわざ探して読んでくる人もいるのです。もっと歴史をさかのぼり、鑑真が建てた奈良の唐招提寺に足を運ぶ中国人もいるようです。鑑真は何度も日本行きに失敗し、視力を失いながらも日本を目指し、苦労の末、日本にたどり着きます。仏教の一宗派である律宗を伝えたのです。唐招提寺と言えば、奈良県奈良市の五条町に位置します。アクセスがいいとはいえない不便な場所にあるのですが、歴史に関心ある人々は、こんなところも訪れているようなのです。私は17年末、四国霊場88か所巡りをしました。88か所巡りを終えて結願した後、最後にお参りするのは和歌山県の高野山金剛峰寺です。ここにまでお参りする中国人が増えているのです。